日本の起業・開業 実態データ
これから起業する人は、どんな人で、何を動機に、いくらかけて始めているのか——。 そして、その後どれくらいの企業が生き残っているのか。 中小企業白書・日本政策金融公庫・総務省など複数の公開調査を、 「開業率・担い手・起業の形態・動機・課題・存続率」の6つの切り口でグラフとともに整理しました。 数字はすべて出典付きで、各調査の原典にもとづいています。
データ時点:2026-05-22|本ページは公開された複数の調査を整理した二次的なまとめです。
調査ごとに母集団・定義・調査時期が異なるため、異なる調査の数値を単純に比較・合成することはできません。 各数値は必ず調査名とあわせてご覧ください。横棒グラフは、単位が%のものはバーの塗りが割合を表し、件数・金額のものは最大値を基準とした項目間の相対表示です。
開業率・廃業率
日本の開業率は近年3〜4%台で推移し、2023年度は開業率・廃業率がともに3.9%で並んだ。国際的にみると、日本の開廃業率は欧米諸国と比べて低い水準にある。
開業率(事業所ベース)
前年度から横ばい。厚生労働省「雇用保険事業年報」をもとに中小企業庁が算出した、事業所における雇用関係の成立をとらえた指標。
出典:中小企業庁「2025年版 中小企業白書」(2023年度(2025年版白書))
廃業率(事業所ベース)
2022年度の3.3%から上昇し、開業率と同水準で並んだ。同じく雇用保険事業年報ベースの指標。
出典:中小企業庁「2025年版 中小企業白書」(2023年度(2025年版白書))
倒産・休廃業の動向
倒産 10,006件 / 休廃業・解散 約7万件(2024年)
倒産件数は2021年を底に増加に転じた。休廃業・解散する企業の約半数は黒字のまま退出しており、その多くを小規模事業者が占める。原データは東京商工リサーチ・帝国データバンク。
出典:中小企業庁「2025年版 中小企業白書」(2024年(2025年版白書))
開業率の国際比較
日本の開廃業率は欧米諸国より低い水準
中小企業白書は、各国で統計の性質が異なり単純比較はできないとしたうえで、「国際的にみて日本の開廃業率は相当程度低い水準にある」と指摘している。
出典:中小企業庁「2023年版 中小企業白書」(2023年版白書)
数字の読み解き
「開業率」と聞いて思い浮かべる数字は、人によって違う。本ページが採用したのは、雇用保険の事業所データにもとづく指標で、2023年度は3.9%。これは「従業員を雇って事業所を構えた開業」をとらえたもので、一人で静かに始める小さな開業は、この数字には十分に表れない。
2023年度は、開業率と廃業率がともに3.9%で並んだ。生まれる事業所と消える事業所がほぼ同数、という状態だ。さらに、廃業・解散する企業の約半数は赤字ではなく黒字のまま退出している。「行き詰まって畳む」だけが廃業ではない、ということも読み取れる。
国際的にみると、日本の開廃業率は欧米諸国より低い。統計のとり方が国ごとに違うため単純比較はできないが、白書自身が「相当程度低い水準」と認めている。裏を返せば、日本では起業がまだ「当たり前の選択肢」になりきっていない、ということでもある。
起業の担い手
開業者の平均年齢は43.9歳と調査開始以来の最高を更新し、緩やかな高齢化が進む。一方で女性の割合は25.7%と4年連続で過去最高を更新した。
開業者の年齢層
平均年齢は43.9歳で、調査開始(1991年度)以来もっとも高い。「50歳代」の割合は3年連続で上昇している。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
開業者に占める女性の割合
調査開始以来の最高水準を4年連続で更新。2015年度の15.0%から長期的に上昇している。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
開業者の勤務キャリア
現在の事業に関連する「斯業経験」がある人も81.1%。多くが会社員としての経験を土台に起業している。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
フリーランス人口(基幹統計ベース)
総務省「就業構造基本調査」が基幹統計として初めて把握した。本業フリーランスは有業者の3.1%にあたる。
出典:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」(2022年10月調査(2023年公表))
数字の読み解き
起業というと若者のイメージがあるかもしれないが、データはむしろ逆を示す。開業者の平均年齢は43.9歳で、調査開始以来もっとも高い。中心は30〜40歳代で、会社で十分に経験を積んだ世代が起業の主役になっている。
女性の割合も25.7%と、4年連続で過去最高を更新した。10年前は15%ほどだったことを思えば、起業の担い手は着実に多様になっている。
もうひとつ重要なのは、開業者のほぼ全員(97.6%)に勤務経験があり、8割は同じ業種での経験を持つという点だ。ゼロからの一発勝負ではなく、「会社員として培った経験を、自分の事業に作り変える」のが現実の起業の姿に近い。基幹統計が初めてとらえたフリーランス人口の広がりも、その裾野の厚さを物語っている。
起業の形態
開業時の経営形態は個人企業が57.0%と過半を占める。一方で新設法人数は増加が続き、2025年は約15.7万社と統計開始以来の最多を更新した。
開業時の経営形態
開業1年以内の企業ベース。開業時の平均従業者数は2.8人で、3年連続で3人を下回った。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
新設法人数(年間)
前年比1.9%増。2008年の統計開始以来の最多を、3年連続で更新した。
出典:東京商工リサーチ「2025年 全国新設法人動向調査」(2025年設立分)
開業業種の構成
上位5業種で全体の約8割を占める。日本政策金融公庫の融資先・開業企業ベース。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
数字の読み解き
開業時の経営形態は、個人事業が57.0%と過半数。法人は43.0%だ。まず個人事業として小さく始め、軌道に乗ってから法人化する——という順序を選ぶ人が、今も多いことがうかがえる。
一方で、新設法人数そのものは増え続けている。2025年は約15.7万社と、統計開始以来の最多を3年連続で更新した。最初から法人を選ぶ起業も、決して少なくない。
開業する業種は、サービス業を筆頭に、医療・福祉、飲食店・宿泊業へと続く。大規模な設備を必要とせず、経験やスキルをそのまま売りにできる分野が中心だ。これは「平均年齢43.9歳・経験を生かした起業」という担い手像とも、きれいに重なる。
起業の動機
起業の最大の動機は「自由に仕事がしたい」。2025年度調査では約6割に達し、収入の向上や経験・知識の活用がこれに続く。
開業動機の上位項目
3つまでの複数回答。「自由に仕事がしたい」が最多である点は、近年の調査で一貫している。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
現在の事業を選んだ理由
単一回答。経験・知識を生かせることが、事業選択の中心的な決め手になっている。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
前職からの離職理由
倒産・解雇など「勤務先都合」は7.4%にとどまる。多くの起業が前向きな自発的選択であることを示す。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
数字の読み解き
起業の動機としてもっとも多いのは「自由に仕事がしたい」で、約6割にのぼる。収入や肩書きより前に、働き方そのものの自由を求めて起業する人が多い、ということだ。
それに続くのが「収入を増やしたい」「経験・知識や資格を生かしたい」。事業を選んだ理由でも「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」が最多で、起業が“まったく新しい挑戦”というより“積み上げた力の延長”として選ばれていることがわかる。
前職を辞めた理由の約9割は「自らの意思による退職」だ。倒産や解雇に追い込まれての起業はごく一部で、多くは前向きな決断として起業の道を選んでいる。
起業時の課題
開業時にもっとも苦労するのは「資金繰り・資金調達」で約6割。一方で開業費用は長期的に少額化が進み、2025年度の平均は975万円となっている。
開業時に苦労したこと
3つまでの複数回答。資金・販路・知識の3点が、起業初期の主な壁となっている。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
開業費用の平均額
平均 975万円 / 中央値 600万円(2025年度)
開業費用は長期的に少額化が進んでおり、「250万円未満」が20.1%、「250万〜500万円未満」が21.7%。ネット・クラウドサービスの普及による低コスト起業の広がりが背景にある。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
開業時の資金調達の内訳
借入と自己資金で全体の約9割を占める。外部借入への依存度が高く、資金繰りが最大の開業課題であることと整合する。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年8月調査(2025年12月公表))
数字の読み解き
開業時にもっとも苦労するのは「資金繰り・資金調達」で、約6割が挙げる。次いで「顧客・販路の開拓」、そして「財務・税務・法務の知識の不足」が続く。お金・売り先・知識——この3つが起業初期の共通の壁だ。
資金面を細かくみると、開業時の調達額は平均1,219万円で、その約7割が金融機関などからの借り入れだ。自己資金だけで始められる規模ではなく、借入とどう向き合うかが起業準備の中心になる。
ただし、開業費用そのものは長期的に下がり続けている。2025年度の平均は975万円、中央値は600万円。ネットやクラウドサービスの普及で、以前より小さく始められるようになった。知識面の壁さえ越えられれば、起業のハードルは着実に下がっている。
「知識の壁」は、準備で越えられます
起業初期の壁としてデータが示すのは、資金や販路だけでなく「財務・税務・法務の知識の不足」。 Toolbox Portal は、会社設立から設立後の実務までを、無料ツールと実務ガイドでサポートしています。
起業後の存続率
日本政策金融公庫が2016年開業の企業を約5年間追跡した調査では、約9割の企業が存続していた。一方で廃業の起こりやすさは業種によって大きく異なる。
経過年数別の企業存続率
日本政策金融公庫の融資先で2016年に開業した3,517社を、2020年末まで毎年末に追跡した固定パネル調査。2020年末時点で89.7%が存続していた。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「新規開業パネル調査」(2016〜2020年追跡(2021年公表))
約5年間の累計廃業率
2016年に開業した企業のうち、2020年末までに廃業したのは8.9%。残りの大半(89.7%)は存続していた。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「新規開業パネル調査」(2016〜2020年追跡(2021年公表))
業種別の廃業率(約5年経過時点)
全業種の平均は8.9%。飲食店・宿泊業や小売業で高く、建設業で低い。事業の選択が存続率に影響する。
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「新規開業パネル調査」(2016〜2020年追跡(2021年公表))
数字の読み解き
「起業してもすぐ潰れる」とよく言われる。だが、日本政策金融公庫が2016年開業の企業を約5年間追いかけた調査では、2020年末まで存続していた企業は89.7%。10社のうち約9社が、5年後も事業を続けていた。
もちろん、廃業がないわけではない。約5年で8.9%が廃業しており、年を追うごとに少しずつ数字は積み上がる。最初の数年を乗り切れるかどうかが、ひとつの分かれ目になる。
見逃せないのは、廃業の起こりやすさが業種で大きく違うことだ。飲食店・宿泊業や小売業では廃業率が高く、建設業では低い。「何で起業するか」の選択が、その後の存続率を左右する。準備の段階で、業種ごとのリスクを知っておくことには大きな意味がある。
このデータが示すこと
- 1
起業は「特別な人」のものではなくなった
開業者の平均年齢は43.9歳、女性の割合も過去最高。会社で経験を積んだ人が、自分の技術や知識を生かして始めるのが、いまの起業の主流だ。
- 2
最初の壁は「お金」と「販路」、そして「知識」
資金繰り・顧客開拓に加え、財務・税務・法務の知識不足が共通の課題に挙がる。逆に言えば、ここを準備できれば不安の多くは解消できる。
- 3
5年後も、約9割が事業を続けている
「起業はすぐ潰れる」というイメージほど、データは厳しくない。ただし業種による差は大きく、何で起業するかの選択が結果を左右する。
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中小企業のAI活用 実態データ
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よくある質問
Q. 日本の開業率はどれくらいですか?
2023年度の開業率は3.9%で、廃業率も3.9%です(事業所ベース、中小企業白書)。日本の開廃業率は欧米諸国より低い水準にあります。
Q. 起業する人で最も多い年齢層は何歳ですか?
開業者の年齢層は40歳代が36.9%で最多、次いで30歳代28.0%です。開業者に占める女性の割合は25.7%(2025年度)です。
Q. 開業費用の平均はいくらですか?
2025年度の開業費用の平均は975万円、中央値は600万円です(日本政策金融公庫)。開業時に最も苦労するのは「資金繰り・資金調達」で約56.9%が挙げています。
Q. 起業した会社はどれくらい存続しますか?
日本政策金融公庫が2016年開業の企業を約5年間追跡した調査では、2020年末まで存続していた企業は89.7%でした。約9割が5年後も事業を続けています。
出典一覧
本データの引用について
本ページの数値は、出典として記載した各調査を引用・整理したものです。引用される際は、本来の調査名(一次出典)を明記してください。 なお各数値の正確な定義・対象は、必ず各調査の原典をご確認ください。本ページは公開データをまとめた二次的な資料であり、独自調査ではありません。