業務委託契約書の作り方|雛形から作る3ステップと確認項目
Editorial / 契約・業務委託

業務委託契約書の作り方|雛形から作る3ステップと確認項目

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ご利用前に:本記事とツールは、一般的な契約実務を整理するための情報・雛形です。高額・長期の取引、個人情報や重要な知的財産を扱う契約、相手方から特殊な条件を提示された契約は、弁護士等の専門家へご相談ください。

業務委託契約書は、白紙から書かない

外注先が決まり、仕事の内容と金額も話せた。そこで急に必要になるのが業務委託契約書です。検索すれば雛形は見つかりますが、難しい条文を前にすると、どれを選べばよいのか分からなくなります。

契約書を自分で一から書けるようになる必要はありません。実務では、契約の種類を整理し、取引条件を入力し、揉めやすい条項を人が確認する順番で進めます。雛形は完成品ではありませんが、白紙をなくし、標準的な条項の抜けを減らす土台になります。

最初に、請負か準委任かを整理する

「業務委託契約」は民法上の一つの契約類型ではありません。実務では、主に請負と準委任に分けて考えます。

種類約束するもの
請負仕事の完成・成果物の納品Webサイト制作、ロゴ制作、記事納品
準委任一定の業務を適切に遂行することコンサルティング、運用支援、保守

判断するときは、相手に約束してほしいのが完成なのか、業務の遂行なのかを考えます。実際には両方の性質が混ざる契約もあるため、迷う場合は契約名だけで断定せず、業務内容と責任範囲を専門家へ確認してください。

契約書を作る3ステップ

業務委託契約書を作る3ステップ。請負か準委任かを決め、5項目を入力し、危険条項を人が確認する流れ
白紙から条文を書くのではなく、決めるべきことを決めて雛形へ反映します。

ステップ1:請負か準委任かを決める

成果物の完成を求めるなら請負、継続的な支援や保守なら準委任が基本です。納品・検収が必要か、月ごとの業務報告で完了とするかも合わせて整理します。

ステップ2:取引ごとの5項目を入力する

  1. 業務範囲:頼む仕事と、含まない仕事
  2. 報酬・支払日:税込・税別、締め日、支払日、振込手数料
  3. 契約期間:開始日、終了日、自動更新
  4. 中途解約:予告期間、着手済み作業の精算
  5. 当事者情報:正式名称、住所、契約日

「SNS運用一式」「月10万円」だけでは、画像制作やコメント返信まで含むのか、消費税を含むのかが残ります。難しい法律用語より、普通の条件の書き忘れがトラブルの原因になります。

ステップ3:揉めやすい条項を人が確認する

雛形に条件を入れたら、すべての条文を同じ濃さで読むのではなく、取引ごとに答えが変わる部分から確認します。

サイン前に見る5か所

業務委託契約書のサイン前に確認する業務範囲、報酬と支払日、著作権、中途解約、損害賠償
全条文を同じ濃さで読むより、揉めやすい5か所から確認すると早く見落としを減らせます。

1. 業務範囲

「関連する一切の業務」のような広すぎる表現になっていないか確認します。成果物、修正回数、追加作業の料金を決め、必要なら見積書や仕様書を契約書から参照します。

2. 報酬と支払日

金額のほか、検収の有無、請求書の提出日、支払日が休日の場合の扱い、振込手数料の負担まで確認します。

3. 著作権などの権利

権利がいつ、どちらへ移るかを確認します。受注者が制作実績として公開できるか、既存素材や汎用プログラムまで譲渡対象に含まれないかも見ます。

4. 中途解約

何日前に通知するか、完了済み・着手済み作業をどう精算するかを決めます。発注者だけが自由に解除できる一方的な条項になっていないかも確認します。

5. 損害賠償

「発生した一切の損害」とだけ書かれている場合は、責任が取引金額に対して過大にならないかを確認します。通常かつ直接の損害に範囲を絞るか、上限を設けるかは個別に協議します。

相手から契約書を受け取った場合の詳しい確認手順は、業務委託契約書のサイン前チェックで解説しています。

フリーランスへの発注は、条件を口頭で済ませない

フリーランス法の対象となる相手へ業務委託をした場合、発注事業者は、業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を、直ちに書面またはメール・SNSのメッセージ等で明示する必要があります。口頭だけでは足りません。

契約書は取引条件をまとめて明示する方法になります。ただし、契約書に必要事項が足りない場合は、発注書やメール等を組み合わせて明示します。制度の対象や最新の明示事項は、公正取引委員会のフリーランス法特設サイトで確認してください。

紙で契約する場合は印紙税を確認する

印紙税は「業務委託契約書」という名称だけでは決まりません。仕事の完成を目的とする請負契約書は第2号文書、営業者間で継続する複数の取引の基本条件を定める契約書は第7号文書に当たる場合があります。契約書に記載された内容で判断します。

詳しい判定は業務委託契約書の印紙税ガイドをご覧ください。判断が分かれる場合は、所轄税務署または税理士へ確認してください。

ひな形で進める契約、専門家に確認する契約

標準的な少額の業務委託であれば、雛形をベースに当事者間で条件を確認する方法が現実的です。次のような契約は弁護士による確認を検討してください。

  • 契約金額が大きい、または契約期間が長い
  • 個人情報、顧客データ、営業秘密を扱う
  • 著作権、特許、ソースコードが事業の中核になる
  • 海外企業との契約で準拠法や裁判管轄が日本ではない
  • 違約金や無制限の損害賠償が提示されている

自分たちで条件を整理してから、判断が難しい部分だけ相談する方法もあります。論点が見えているため、専門家にも取引の実態を伝えやすくなります。

契約書は、仕事を始める前のすり合わせ

業務委託契約書は、白紙から書かなくて大丈夫です。請負か準委任かを整理し、取引ごとの5項目を雛形へ反映したあと、著作権や損害賠償など揉めやすい部分を読み直します。

契約書は相手を疑うための書類ではありません。「そこまで頼んだつもりではない」「その条件で受けたつもりではない」を、仕事が始まる前に減らすためのものです。

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